スロットで月間プラス収支を目指すおっさんの奮闘日記

アラフォー 期間工 借金etc 悩み、もがき、追い詰められながらもそれなりに日々を楽しんで生きているおっさんです。日常の様々な事を記事にしています。2019年7月にフル満了で神戸市に帰ってきて、今は介護施設で働いています。

負け犬の遠吠え ~初めての借金~

それは25の時。

 

その頃彼は、金融機関を辞め、食品工場でのアルバイトを2年くらいした後、障害者介護施設契約社員として働いていた。

 

給料は手取り15万円ほど、ボーナスは年2回月給1ヶ月分程度で、実家暮らしなら、普通に生活すればそれ程困らなかったのだが、パチンコをし続ける為には少なすぎた。

 

『お借り入れから○○日間は無利息』とCMしていた有名な会社から借りた。電話を掛ける前は、会社にバレないか?親にバレないか?人生ダメにならないか?すぐに返せるのか?など、色々考えたが、50万円の枠をもらった瞬間に、その50万円は自分の物になった気がした。また当時は総量規制がなかった時代なので、何度か返済すると、向こうから電話がかかってきて、枠が100万円になった。

 

50万円を少し超えた所で、彼は少し怖くなった。よくよく考えると、年収200万円程度の人間が50万円を返すことが出来るのか?年功序列で長く働けば給料が上がって行く訳でもないのに…

 

「返せない」

 

「パチンコは止められない。親にも言えない。」

 

ある日を境に彼の頭は借金で一杯になった。

嘘もたくさんつくようになった。

飲み会にあまり参加しなくなった。

 

20歳から付き合っていた彼女は看護師になって、彼の倍程の年収になっていた。

 

だんだん生活レベルが合わなくなっていき、些細な事を妬む嫌な男になっていた。

 

そんな時、彼の職場に4つ下の女の子が入ってきた。とても可愛く、性格もよかった。笑顔がとても印象的な人だった。

 

やや人見知りの彼は、自分から話しかける事はあまりなかったが、彼女にとても興味を持ち、仲良くなるきっかけを待っていた。

 

ある日、夜勤が一緒になった。

 

彼の職場の夜勤は、深夜帯に4時間程の仮眠時間がある。また男女ペアで夜勤なので、気の合うペアの時は詰所でお茶を飲みながら話すこともある。実際に彼も他の女性がペアの時はそうした事もある。

 

彼女が夜勤ペアになった日、凄く胸がドキドキしていた。浮気とか、そんなつもりはないが、兎に角興味があった。

 

「あわよくば」

 

みたいなのを期待していたかも知れないが、随分昔の事なので、明確には覚えていない。

 

 

 

 

 

仮眠時間前の最後の見回りの時に、彼女とすれ違った。補足だが、彼の施設は棟が二つあり、それぞれに一人づつ夜勤の職員が配置されている。各棟に男女の入所者がいるので、約2時間事にそれぞれの棟に見回りに行かなければならない。お互いが相手の棟に行く際にすれ違う事になる。

 

 

「少しこっちでお茶飲んで行く?」

 

彼は勇気をだして誘ってみた。

 

「ありがとうございます!」

 

彼女は笑顔だった。

 

話の内容はとりとめのない事ばかりだが、20代の若者が1時間も話せば話題はほぼ恋愛になる。

 

彼は彼女がいる事、彼女が大阪で看護師をしている事などを話した。彼女は最近彼と別れた話をした。結婚を考えていたが、結局別れたとの事である。

 

彼女はよく笑う。また、聞き上手な為、時間はあっという間に過ぎ、気がつくと空が明るくなっていて、仮眠時間もそろそろ終わり、朝の見回りの時間が近づいていた。

 

 

「電話番号教えてもらえませんか?」

「彼女がいる事は聞いたけど、気持ちは伝えないと分からないので…」

 

 

 

 

 

嬉しい反面、少し困った。「困った」という表現は正しくないかも知れないが、今付き合っている彼女の事が好きな気持ちに変わりはないので、どうしていいか分からなかった。

 

結局、電話番号を教えた。

 

職場の彼女(今後さやかと呼ぶ)とは時々メールをしたり、職場の仲間同士でご飯を食べる事はあったが、2人で会うことはしばらくなかった。だが、彼はもう少しさやかの事が知りたくなった。

 

 

少しだけ、借金の事が頭から離れた。だが、彼の借金は、50万円以上になっていた。