スロットで月間プラス収支を目指すおっさんの奮闘日記

アラフォー 期間工 借金etc 悩み、もがき、追い詰められながらもそれなりに日々を楽しんで生きているおっさんです。日常の様々な事を記事にしています。2019年7月にフル満了で神戸市に帰ってきて、今は介護施設で働いています。

負け犬の遠吠え ~精算2~

あれ以来、さやかと会うことはなくなった。メールもしなくなった。さやかからのメールも来なくなり、職場では顔を合わすが、何となくぎこちなくなった。

 

 

彼はあれから、強い罪悪感に苛まれた。言わなければばれることはなかったが、あまりの罪悪感に、ゆうこに自分から話した。悪いと言う気持ちより、常に襲ってくる罪悪感から解放されたい気持ちの方が強かった。

 

ゆうこは泣いて怒っていたが、しばらくして許してくれた。ゆうこの事が好きなので、もうさやかには近づかない。そう決心した。

 

彼はずっと以前からゆうこと結婚したいと思っていた。ゆうこもいずれは彼と結婚したいと思っていた。

 

だが、彼が金融機関を辞め、契約社員になった事や、ゆうこが大阪の病院で働いている事などで、具体的な話は何もなかった。彼がきちんと就職し、結婚に向けて貯金するなり、行動を起こせば良かったのだが、彼はそれをしなかった。逆に、刹那的に借金をし、パチンコも止められず、浮気までしている。目標へのハードルが高いと、それを避けて、楽な方へ逃げてしまうような所が彼にはあった。勿論本人は気づいていないが……

 

 

あれから半年…

 

年が明け、季節は真冬になっていた。

 

さやかとは、前ほどのぎこちなさはなくなり、職場でも普通に話せるくらいにはなった。ゆうことは、これまで通り仲良く付き合っていた。

 

ある日の夜、ゆうこと電話をした後、眠りにつく前に考え事をしていると、ふとさやかの事を思い出した。あれから彼女はどうしてたんだろうみたいな事を思っていると、携帯電話が鳴った。さやかからだ。

 

『今電話出来る?』

 

「大丈夫だよ」

 

すぐに電話が鳴る。

 

「もしもし」

 

『うん。ごめん夜遅くに』

 

「どうしたん?」

 

『うん…』

 

声が暗かった。悩みがあるような感じだったので、明るくする為に、冗談交じりで彼は言った。

 

「妊娠でもしたん?」

 

『うん』

 

「そうなんや。」

 

「えっ、ほんまに?」

 

『うん』

 

さやかは泣いていた。

 

「俺の子?」

 

『違う』

 

彼との一件のあと、さやかは自暴自棄になり、元彼の友達とそういう事になったという。相手には話したが、手術して欲しい、その後また付き合って欲しいという、理解し難い事を言われたという。親には勿論、誰にも相談出来なく、この日、彼に相談した。

 

彼の中で、何かが壊れた。

 

「とりあえず、明日会ってもう一度話を聞かせて」

 

何故そう言ったのかは分からない。恐らく、少し責任を感じたのだろう。それと、もう一度さやかと会いたいという、彼の中で抑えていた意識がそう言わせたというのもある。

 

翌日、さやかと会った。かなり落ち込んでいた。産むか手術するかも悩んでいたし、手術した場合、会社や家族にバレないかも心配していた。

 

「もし産むなら、俺と一緒に育てよう」

 

なぜそう言ったのかは分からない。10年以上経った今でも思い出せない。だが、さやかが産むと決めたならそうしようと本気で思っていた。

 

『手術するわ』

 

「分かった。じゃあ、手術が終わるまではさやかの傍にいるから、不安になったらいつでも頼っていいよ」

 

『ありがとう。』

 

『…抱いて欲しい』

 

「分かった。」

 

少し考えた後、彼は頷いた。これがさやかとの2回目だった。

 

その後、ゆうこには事情を説明し、手術までの暫くの間さやかとも何度か会うことを許してもらった。ゆうこはしぶしぶ了承してくれた。

 

 

 

無事に手術は終わり、会社には体調が悪いのでと言う事で、暫く負担の軽い仕事に変えてもらうようにし、家族にも知られる事はなかったようだ。

 

手術までという約束で一緒にいたが、彼は次第に、もう少しさやかと一緒にいたいと思うようになり、その後数ヶ月、さやかとゆうこの二人と会うという、どっちつかずの状態になった。

 

結局、ゆうこに好きな人が出来たと言う事で別れ話になり、かなり悪足掻きした末、別れる事になった。約7年の付き合いだった。喧嘩もしたし、彼女との収入の格差に嫉妬したりすることもあったが、また具体的な努力はしなかったが、彼はゆうこの事が好きであり、本気で結婚したいと思っていた事は事実である。

 

ゆうこに振られる形になり、彼はさやかと付き合う事になった。同じ職場で、収入も似たり寄ったりという事もあり、殆ど喧嘩する事はなかった。交際は順調に進んでいった。

 

彼の借金は現在55万円程であったが、この頃より、毎月の返済が厳しくなっていた。