スロットで月間プラス収支を目指すおっさんの奮闘日記

アラフォー 期間工 借金etc 悩み、もがき、追い詰められながらもそれなりに日々を楽しんで生きているおっさんです。日常の様々な事を記事にしています。2019年7月にフル満了で神戸市に帰ってきて、今は介護施設で働いています。

負け犬の遠吠え ~精算1~

さやかとは、それからもメールが中心の関係であった。彼の日常は相変わらずで、借金が大幅に増える事はなかったが、減ることもなく、スロットも好きな時に打っていた。

 

ある日の会社帰り、ふと入ったパチンコ屋で旋風の用心棒が爆発して6000枚位出した。話は逸れるが、この機種は、4号機のなかで最も好きな機種の一つである。解析などは当時は殆ど知らなかったが、連ちゃん中のイケイケ感が好きで、一時期よく打っていた。そしていつもボロボロに負けていた。

 

 

さて、久々に10万円以上の泡銭を手にした彼は、遅い時間だが、さやかをメールで食事に誘った。

 

「こんばんは。ちと遅いけどご飯行かへん?」

『こんばんは。ちょっと待って』

 

10分後…

 

『うん。ご飯は食べたけど、少し会いたい。』

「電話していい?」

『今はちょっと出れんねん。30分後には駅前に来れるよ』

「??」

 

若干違和感はあったが、さやかは約束の時間に待合せ場所にいた。

 

車の中で話を聞くと、職場の先輩(40代男)と飲んでいたとの事であった。同じ職場なので、先輩の事は勿論彼も知っている。独身でとても優しく、同性から見ても男前な先輩だ。

 

さやか曰く、最近先輩にやんわり告白されているという事であった。「やんわり」と言うのがいかにも先輩らしく、彼も、同性としてそんな先輩が好きである。

 

これはあとから聞いた話であるが、さやかはこの時期、他に3人の男(全員職場の人)から、食事に誘われたりプレゼントをもらったりしていた。

 

話は戻るが、先輩との食事を切り上げて、さやかは俺と会ってくれたという事で、彼は少し舞い上がっていた。結局食事はせず、さやかの提案で近くの山に夜景を見に行く事にした。

 

真夏なので、さやかはノースリーブを着ていたが、それでも暑いようで、汗ばむ腕を少し気にしていた。

 

夏の夜、夜景、ノースリーブ、それに先輩との食事を切り上げてさやかが助今手席にいるこのシチュエーションに彼のテンションは最高に高まっているが、必死に平静を装いハンドルを握っている。

 

山に到着し、車を降りると、綺麗な夜景が広がっているが、あまり有名でない場所のようで、二人以外に人はいない。

 

二人は隣同士に座り、話をするが、以前夜勤の時のように会話が盛り上がらず、さやかは時々無口になる。

 

会話が途絶える度に、彼の心臓の鼓動は高まり、頭の中は高速回転しているが、今付き合っているゆうこの事は、本当に好きなので、ぐっと耐える。

 

結局、3時間程夜景を見た後、さやかを自宅まで送り、彼も帰宅した。手を繋ぐ事も、肩を抱く事もなかったが、この日から、彼の中で、さやかは特別な存在になった。

 

 

 

2度目に会ったのは、季節が変わった秋だった。

 

 

「もう一度会いたい」

 

 

職場で顔を合わす度に、彼の理性は徐々に崩壊していき、感情が心を支配する割合が増えていった。ゆうことの関係は変わらず、彼のつまらぬ僻みから喧嘩する時もあるが、別れ話などはなく、いつも通りだった。

 

仕事終わりにさやかにメールをする。

 

「こんばんは。少し会いたいけど、今時間あるかな?」

 

『いや。会わない。』

 

 

短い返事が返ってきた。夜景以来色々考え、さやかにメールするのは控えていたからなのか、ぶっきらぼうな感じであった。

 

1時間後…

 

 

『今からそっちに行く』

 

さやかからメールがきた。

 

状況が飲み込めなかったが、もう向かっていると言う事なので、会うことにする。今回は彼女の車で彼の地元の海に行ったのだが、途中で急に雨が降り出し、海の近くの駐車場に車を停める。

 

メールの時点でも感じたが、今日のさやかは機嫌が悪いのか、黙っている事が多いが、彼とは会いたかった様に、言葉の端々からは伝わる。

 

土砂降りの雨の中、車に二人きり…

 

彼はとうとう自分を抑える事が出来なくなり、さやかの肩を抱いた。

 

さやかは抵抗すること無く、彼の肩に頭を寄せる。

 

自然に唇を合わせる。そこからはお互いに気持ちを抑えきれなくなり、その夜、二人は結ばれた。

 

 

浮気者

 

終わった後、さやかは真顔で彼に言った。メールでの違和感は、会えばこうなる事を知っていた、さやかの葛藤だった。