負け犬の遠吠え ～整理～

スマホのサイトで見つけた無料診断から申し込みをした。

司法書士が電話で早口に喋っている。早くしないと大変な事になるから契約しましょうと急かされる。楽になるならどこでも良かったので、言われるままに電話口で手続きをした。

司法書士の報酬は1件65000円。受任件数は4件(消費者金融は少し前にひとつにまとめた)で、計26万円。和解の成立は半年後。それまでは支払いはしなくてよいが、司法書士への報酬を分割払いしなければならない。

※後から知ったが、この報酬は高い。対応もいまいちだったので、検討されるかたは、どこにお願いするか慎重になった方が良いです。

「ついにやってしまった。」

でも、支払いが少し楽になりそうだったので、気持ちが少し軽くなった。

司法書士への分割払いは、一度遅れたけど、怒られなかった。それが5ヵ月続き、全て支払った頃、和解が出来ましたという連絡がある。和解内容に納得すれば、契約書に書かれている金額を毎月振り込む。

基本的に5年で完済となるが、7年にして毎月の返済を軽くする事も出来るらしい。

19万円の収入。

4ヵ月毎に5万円程手当金が入る。

任意整理支払い 45000円

住宅ローン  40000円

管理費  20000円

養育費  30000円

携帯  10000円

水道光熱費  10000円

残35000円

切り詰めていけばやって行けない事もないが、健二には無理だった。

任意整理する前よりはましになったが、固定資産税や、住宅ローンのボーナス払い、医療費や交際費、衣類などの消耗品費、原付のガソリン代などを考えると、やっていける自信はなかった。

スロットなんて打てないのに、一番手元にお金がある、給料日に打っていた。

1週間後には毎月金欠状態だった。

かなり古いスマホで必死にお金を得る方法を検索した。Fxもした。ポイントサイトも幾つかした。掲示板で、個人で貸してくれる方にも出会った。仕事どころではない精神状態だったが、仕事はちゃんとしていた。メンタルは、随分良くなっていて、薬なしで生活しても問題なく過ごせていた。

各種支払いは遅れながらだが、継続して支払っていたが、任意整理の支払いが開始してから2年程経ったある日、またお金がなくなった。

父からも、誰からも借りられなく、他の手段で得たお金も全部使ってしまった。

「俺、いつまでこんなことしてるんやろ」

と、自分で自分を軽蔑しながらも、古いスマホと格闘していた。

そして、手を出してはいけないものにてを出してしまった。