スロットで月間プラス収支を目指すおっさんの奮闘日記

アラフォー 期間工 借金etc 悩み、もがき、追い詰められながらもそれなりに日々を楽しんで生きているおっさんです。日常の様々な事を記事にしています。2019年7月にフル満了で神戸市に帰ってきて、今は介護施設で働いています。

負け犬の遠吠え ~起訴~

『なんで我々が来たか分かるよな』

 

二人いた刑事のうちの年輩の方が言った。

 

「はい。」

 

『あなたが持っている○○銀行口座に、オークションで振り込んだ人が、商品が届かなく、出品者にも連絡が取れなくなった為、被害届をだしたんやけど…心当たりある?』

 

「いや、ないです。」

 

『じゃあ振り込まれた事は知ってる?』

 

「実は、キャッシュカードを落としまして…」

 

『そうなんや。でも、お金が口座から引き出されてるみたいやねん。暗証番号がないとおろせないのに…』

 

「………」

 

『正直に言ってみ。悪いようにはせんから』

 

「売りました。すいません。」

 

健二は罪を認めた。その後は売った口座を正直に話し、後日改めて警察に来るように言われ、30分程で刑事達は帰った。

 

『お父さんには話してないから、話すなら自分から話して。』

 

刑事達がそう言い残して帰った後、父に電話したが、正直には話せなかった。落としたカードを悪用されたと伝えた。刑事が父に最初に電話したのは、銀行に登録していた連絡先が実家だったからである。

 

遅かれ早かれこうなる事は分かっていたので、健二は妙に落ち着いていた。むしろ、逮捕されずに済んだ事で良かったと思った。

 

数日後、刑事から電話があった。

 

署まで来て欲しいとの事で、日程を約束し、当日時間通りに行った。

 

「ここで改めて逮捕され、拘留されるんかな」

 

若干の不安を抱えながら受け付けに向かい、担当の刑事を呼び出して貰う。

 

5分後…

 

『よっ』

 

軽く手を上げた刑事が笑顔で奥からこちらへ向かって来る。

 

「拘束されることは無さそうかな。」

 

刑事に誘導され、奥の建物に向かいながら健二はそんな事を考えていた。

 

着いた先は取調室と書かれたプレートがはまっている狭い部屋だった。ドラマで見るような、机と椅子と小窓だけの殺風景な部屋だった。机には、健二の名前が書かれた分厚いファイルとパソコンが置かれていた。ファイルには『出頭』と書かれていた事で、自分が出頭扱いになっている事を健二は理解した。少しほっとした。

 

取り調べのはじめに、

 

所持品チェック

終わるのは17時頃で、間に昼休憩で外出出来ること

言いたくないことは言わなくて良い(黙秘権)こと

取り調べは3日位あるので、その都度都合をつけて出頭しなければならない事

身元引受け人が必要な事

 

などを説明された。

 

そしていよいよ取り調べが始まった。年輩の刑事が質問し、健二が答え、若い刑事がパソコンに答えた(供述した)内容を打ち込んでいく。健二が素直に答えていることもあるのか、淡々と進んでいった。ただ、刑事は口座を売った相手の情報を知りたかったみたいだが、メールは全て消去し、健二の記憶も曖昧であった為、その部分はしつこく聞かれた。

 

昼食は最寄駅前ですませ、余った時間は警察署前の川の土手で日向ぼっこをしていた。

 

午後からも同じような流れで取り調べは進み、16時くらいには終わった。取り調べ後、写真撮影とDNA採取があった。写真撮影は、これもドラマでよく見るような感じの、黒の棒の様な物を胸元にかざしての写真だった。

 

全てが終わった後、受け付けまで送って貰い、そのまま帰宅した。

 

取り調べは同じような流れで後2回あり、それとは別に、実況見分があった。実況見分は、刑事がうちに来て、車で犯行現場を周り、写真撮影をするというものだ。健二の場合、売買のやり取りは自宅で、入金されたお金を引き出すのはコンビニだったので、それぞれの場所で写真を撮られた。また、よく行くパチンコ屋の前でも写真を撮られた。見分は1時間程で終わった。

 

最後の取り調べでは、健二が供述した内容(刑事が入力した内容)を刑事が読み上げ、間違いがないか確認し、プリントアウトされたものに1枚づつ健二の母音を押していく作業があった。その後は、今後の手続きについて説明を受けた。健二の場合は書類送検で、書類のみ検察に送られる事になった。刑事にどれくらいの罪になるのかを尋ねたが、それを決めるのは検察なので言えないと言われた。実刑か、100万円以下の罰金か、執行猶予のどれかにはなると言われた。

 

帰りの電車の中で、出来れば執行猶予が良いなと考えていた。実刑ならば、会社を辞める事になるし、刑務所での生活も耐えられそうになかった。何より会社や家族に知られるのが嫌だった。一方、罰金は、お金のない健二にとって死刑宣告と同じに思えた。

 

「どうなるんやろ?」

 

乗り換えで降りた駅前で、煩悩ブレーカー禅(5スロ)を回しながら、今後の事が不安でたまらなかった。